つぶちゃんとの別れ

2009年9月8日

残暑がとても厳しく、その照りつける太陽がやや西に傾きかけた頃、水槽の中でつぶちゃんは動かなくなっていた。

四つの足でしっかりと姿勢を保ち、西に沈もうとする太陽を見つめるかの様に固まっていた。

まるで炎夏の太陽に、つぶちゃんの命がのみ込まれてしまったかの様にも思えてならなかった。

僕は突然の事に、声を張り上げた事を記憶している。

頭の思考回路と心の動揺が激しく入り混じり、まずは冷静を取り戻す事に努めた。

得度して仏門に入り、僧侶の端くれでもある僕は、まずは冷静を何とか保ちお葬式をして送ってあげようと、我が家の菩提寺である御住職にお願いしてお葬式を執行った。

突然のお願いにもかかわらず、御住職のご厚意のおかげで無事にお葬式を終える頃には、非情にもつぶちゃんからは死臭が漂い出すも、陽が沈むまでには庭にお墓を造って埋葬する事ができた。

お墓に亡骸が収まった安堵と、水槽から姿が消えてしまった喪失感に僕の心は向くべき方向を見失っていた。

苦しみの始まりであった。

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