つぶちゃんプレゼント

その後、友人と合流して会場に向かうことに。

移動の道中、友人はバッグの中をまさぐりながら、僕の為に用意してくれたチケットを差し出してくれた。「ハイ、チケットね。」

「ありがとう。」

お礼を言ってチケットを受け取り、気になる席はどこかなと席番に目をやった。

「おっ!前から2列目、ほぼコート目線!いいね~。」

そして席番は…

[8番]…

時が止まったような、今の自分の居場所から何処か別世界に行ってしまったかの様な感覚に包まれながら固まってしまった。

あのメッセージ…

[8 プレゼント 受けとる]

それらのワードの内、[8]は今ゲット出来たのかも知れない…。

そう考えたら笑みがこぼれた。

でも何も起きなかった時は逆に落ち込んでしまうと思い、逸る気持ちにブレーキをかけた。

「ただ試合を楽しめばいい。変な期待はやめよう。」

その後も妙な胸騒ぎは続いたが、会場に入り席に着いた時には試合に対しての興奮に変わりつつあった。

いよいよ選手たちがコールされ、コート内に姿を現すと、手に持ったファンサービスのサインボールを投げ込み始めた。

一人の選手がこちらに近づいてくる。

そして、ボールを放った…。

ふわっと宙にあがったボールが、僕の胸元に飛び込んできた!

キャッチ!

その瞬間、「これかっ![8. プレゼント、受けとる]って!」

興奮した。

試合が始まっても、暫くはその興奮から離れられない状態が続いた。

今まで、「この想いは届くだろうか…。届くといいな…」

そんな想いで向き合ってきたが、この想いはちゃんと届いていたんだ。

そして今日、つぶちゃんからの返事を受けとることができたんだ。

僕がペットロスから、完全に開放された瞬間が訪れたのであった。

僕はそのボールに[つぶちゃんプレゼント ドラゴンボール]と名づけて宝物とした。

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