波動

やがて、彼女の勤めていた喫茶店は閉店を迎え、僕の視たビジョンは現実となっていた。

更地となって、筒抜けとなった景色を眺めている僕…。

建物は消えても、そこには楽しく過ごしたあの時のエネルギーが残っている…

そして彼女のエネルギーも…

いくら強い風が吹こうとも、消え去る事はない。

僕はそれを感じたくなると、跡地の前を車で走り抜けた。

彼女はどうしているだろう…

そんな想いが去来する。

ある日のこと…

車を運転中に突然、右手が震えだした…

同時に、僕の内側の振動も激しくなった…

これはマズイ…

車を止めた方が良さそうかと思った瞬間、反対車線を走って来た彼女の車とすれ違った。 

去りゆく彼女の車をドアミラーで確認する頃には、右手の痙攣は収まっていた。

間違いなく感じている…

彼女の波動を…

そして、バイブレーションは続く…

コメントを残す