呼び鈴の音と共に、玄関先から声が聞こえる。
足を運ぶと、玄関扉のガラスに映る二つの影。
そこには、年齢にして70歳位の男性と女性の姿があった。
見慣れない様子の二人にいぶかしそうに用件を尋ねると、聖書の普及を目的に各家庭を回っている方達であった。
このタイミングでか…。
すぐに感じた。
僕は仏教の信仰ではあるものの、宗教に偏見などはなく、聖書には何が説かれているのか興味を持った。
そして何より、この苦しみの中現れたこの二人こそ、天からの救いなのではないかと感じたのである。
初対面であったが、聖書の普及に携わる人だけあって、僕の苦しみに耳を傾けてくれた。
気付かぬ内に時間は進み、他のご家庭も回る予定があるとの事で、今後は金曜日にモーニングコーヒーを飲みながら、喫茶店で話をする事に決まった。
僕はこの出会いの中に、苦しみからの脱却の手がかりがある事を願っていた。

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