二匹の龍

我が家に辿り着いたカメ太ちゃん。

餌もしっかり食べてくれて、へんげちゃん同様に順調に育ってくれている。

飼い始めは個別の水槽で飼育してきたが、カメ太ちゃんも少し成長したので、へんげちゃんと同居させてみる事にした。

甲羅の上に乗って、仲良く過ごす姿をイメージして…。

その暮らしぶりは、そんなに仲良しには見えないが、先輩のへんげちゃんも攻撃する様子もなく、淡々とした雰囲気が漂う。

そんな同居生活も、やがては慣れてきたのか徐々に遠慮が無くなってきた。

ある日のこと…

大人しく仲良く並んでいたのに、餌を与えた瞬間に[悪魔]が顔を出したのだ。

カメ太ちゃんが餌の乾燥エビを咥えた瞬間、一回り以上も大きいへんげちゃんが、餌を咥えたカメ太ちゃんの頭ごと齧り付いたのだ!

ビックリした僕は、すぐに引き離しにかかった。

幸いカメ太ちゃんは無事で、大事に至らずに済んだ。

水槽の上から覗き込みながら、僕は思ったのである。

エゴの塊…

自分の命を守る為に必死なんだ。

自分を守る為、エゴという[負のエネルギー]を発している。

すなわち、野生に生きる命が[龍]たる所以(ゆえん)か。

僕のところにやって来た、二匹の[龍]たち。

この二匹の[龍]も、僕に癒されたくて来たんだろう。

大丈夫、精一杯癒やすから。

だから、争っちゃダメだよ。

心配しなくても、餌はちゃんとあるからね。

そんなふうに想いながら覗き込んでいると、この二匹のカメの姿が我々の姿に重なるのであった。

天も我々を上から見守っている…。

争うんじゃない。心配しなくても、幸せはちゃんと与えられているんだよと…。

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