帰って来てくれる…。
そう信じる気持ちと諦めの絶望感が、まるでシーソーのように揺らぐ…。
外は夜明けの気配を漂わせ始めていた。
いつ帰って来てもいいように玄関を少し開けておいたので、そろそろ閉めて眠らないといけないと思い玄関へと向かう。
すると…
玄関のガラスに白い影が映っていた!
ネコニャン!
おかえり~!
抱きかかえながら頭を撫でて、ケージの中のハンモックに乗せた。
ネコニャンと僕の縁は、こんな事で終わるはずはない。
だって、9月8日を目指してきた[命]なんだから。
帰って来てくれたからそう言えるのだが、どれだけ心配した事か…。
すると、僕の中で昔の記憶が甦る…。
僕がまだ5才くらいだったか…。
両親が共働きだった為に、僕の面倒はおばあちゃんが見てくれていた。
ある日、おばあちゃんに叱られた僕は、お隣の家の子を引き連れて[家出]を決行した。
やがて日も落ちかけると、二軒の家では大騒動となっていた。
幼い子供が二人、忽然と消えた!
近所の人たちや警察を動員しての大捜索が始まっていた。
そんな事とは露知らず、幼い二つの命は冒険を続けていた。
辺りが闇に包まれ始めた時、僕たちの前に現れたのは[鬼]だった!
たまたま通りかかった道先に、鬼が祀られた祠があったのだ。
その[鬼]を見た途端に、幼子たちの不安は一気に爆発したのであった。
[鬼]の所で、幼子たちが泣いている!
通報を受けた警察が駆けつけてくれて、僕たちの[冒険]は終わりを告げたのであった。
今回のネコニャンの脱走が、僕の埋もれてしまっていた記憶を呼び起こす。
いや、僕が蓋をして閉じ込めたはずの[汚れ]を、再び炙り出してくれたのだ。
[これも浄化してね]って…。
そんな過去の事、どうやって浄化するのか…。
それは[愛]を学び、[感謝]を覚えて、他者にそのエネルギーを注ぐこと。
それしかないのだ。
ネコニャン、お帰り!
僕は相変わらず苦しいけど、それでも幸せだ。

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