魂の叫び

[探偵!ナイトスクープ]を毎週楽しみに観ている。

放送開始から、もう三十年以上になる長寿番組である。

バブルの時代に放送が始まり、時代の流れと共に番組を彩るタレントさん達も移ろいながら、[笑顔]という軸はブレる事なく楽しませ続けてくれている。

そんな歴史の中で、僕の中での[神回]もいくつか存在している。

先日、ふと記憶の中で眠りから覚めた、僕の心に刻まれ[神回]のひとつ…

[愛車 ヴィヴィオくんとの別れ]

依頼者は女性の方であった。

16年間、大切にしてきた愛車の軽自動車[ヴィヴィオくん]…。

故障も増えてきて、その度に修理に出すも、そろそろ限界を感じて新車を購入した依頼者。

しかし、廃車にする決意がもてずに、[ヴィヴィオくん]の車検の残りもあと1か月に迫っている。

[探偵さん、そんな私の背中を押して下さい!]

との、切実な依頼であった。

番組は面白おかしく、女性を[ビィビィオくん]との[別れ]へと導いていく。

依頼女性は[ビィビィオくん]に感謝を伝えながら洗車を済ませ、[最後のドライブ]へと出発する。

その目的地…

それは、スクラップ工場…

女性の目から、大粒の涙が溢れだす…。

やがて、プレス機の中に消えてゆく[ヴィヴィオくん]に対し、嗚咽する依頼女性…。

無機質である筈のプレス機の破壊音も、何故かしらヴィヴィオくんからの[別れの嗚咽]に聞こえる…。

そして、[別れ]の苦しみを乗り越えた依頼女性の表情は、やがては[笑顔]に変わっていた。

そんな、僕の中で目覚めた記憶は、新たな気づきをもたらしてくれた。

以前の投稿で、魂と人間(肉体)の主従関係についての見解をお伝えしました。

それは[タクシー]と、その[乗客]。

我々人間は、[肉体]に[魂]を宿して[運んでいる]のだ。

[魂]の目指す[目的地]へと…。

番組の中で、依頼者がヴィヴィオ君に向けて流した[涙]は、[魂]が[肉体]とお別れする時のエネルギー(涙)にも思えるのであった。

共に[人生をドライブ]した[肉体]に対し、[魂]からの感謝のエネルギー。

僕の父親がこの世を去ったとき、通夜の夜は雨風がひどく、荒れた夜であった事を思いだす。

あの時の[雨風]は、父親の肉体を離れていく[魂]からの、父親という[肉体]への[感謝の嗚咽]だったのだろう。

そして僕も、[魂]に感謝されるように生きなければいけない。

そう、気づかされたのである。

コメントを残す