つぶちゃんのお墓で向き合う度に、顔を見せるようになった赤ちゃんトカゲ。
僕の差し出す指先に登り、まるで癒されているかのように共に時間を過ごす。
今日も、また会えた。

僕の指先でしばらく大人しくしていたが、やがて腕へと移動する。
今日は、僕の身体のあちこちを走りまわる。
やがては、草のクッションの上に落下すると、その隙間へと消えていった。
つぶちゃんのお墓は、ワンダーランド。
小さな命との、触れ合いの場でもある。
そんな小さな命たちに、
[頑張って生きろよ]
とエールを贈りつつ、それは自分への励ましでもある。
今、この目に[映る景色]…
それは、自分の[内側の状態]が[具現化]された景色。
そろそろ、ローソクの炎も終盤に差し掛かると、僕とつぶちゃんの向き合い(瞑想)も区切りとなる。
パイプ椅子に下ろしたお尻を持ち上げようと足を動かした瞬間、微かな違和感を靴先で感じた。
視線をそちらに向けると、そこには先ほどまで僕と過ごしていた赤ちゃんトカゲが瀕死の状態となって苦しんでいた…。
僕の足元を徘徊していて、気づかずに靴先で踏んでしまったのであった。
突然の出来事に、心が揺れる…。
あんなにも成長を願い、
幸せを願っていたのに…。
その想いとは逆に、僕が殺生してしまうとは…。
赤ちゃんトカゲを手のひらに乗せて状態を見守ると、少し尻尾を振った後すぐに静寂は訪れた。
僕はそのまま赤ちゃんトカゲを包み込み、
[僕の想いの中で癒すからね…]
もうエサを探す必要もない…。
もう外敵も気にしなくていい…。
僕の[想いの中]は平和で安心だから…。
いつも会いにきてくれて、ありがとう。
これからは、いつも一緒だよ。
僕の心の中で…。
だからこそ、これからも僕は[内側]を温かく穏やかにしていかなくてはならない。
この赤ちゃんトカゲの[死]の意味は、僕へのそんなエールなのである。
ありがとう…。
そんな想いを込めて、線香を手向けるのであった。

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