闇との闘い③

ジョニーは後に階級を一つ上げて、バンタム級のタイトルに挑戦する事となる。

二階級制覇を目指して。

WBAバンタム級チャンピオン

ナナ・コナドゥ(ガーナ)に、今度は挑戦者として向かい合った。

階級を一つ上げても、クレバーでボクシングスキルに勝るジョニーは判定勝ちを納め、見事に二階級制覇を達成した。

僕はまた、喜びの声を手紙で届けた。

すると、また返事を返してくれて、今度はリクエストが書かれていた。

“日本の風景や文化を知りたいから、何か送ってくれないか?”

[何か]とは何…?

思慮を巡らせたが相手の好みもハッキリせず、自分の直感を頼りに[日本詰め合わせセット]を荷造りした。

ジョニーとチームスタッフ用に[必勝鉢巻]や法被、そして彼の奥さんには浴衣や日本の名所のポストカードなど、幼い彼の子供にはピカチュウのぬいぐるみを贈った。

すると今度は、ジョニーのチームシャツを贈ってくれた。

更には、ボクシングの技術的質問をしてみたり、交流は活発になっていった。

やがて世の中はインターネットが普及し始め、ジョニーもホームページを立ち上げた。

そして、僕たちの交流も手紙からメールへと変化した。

手紙からメールに変わり意思疎通のスピードは増したが、手紙と違いメールは少し味気なくも感じたものであった。

そんな中、

彼の持つバンタム級タイトルの初防衛戦が決まった。

相手は、

ポーリー・アヤラ(米)である。

実はポーリー、WBCのバンタム級チャンピオンである辰吉丈一郎選手に日本で挑戦したばかりであった。

試合は不運にも途中で互いの頭が当たり、辰吉選手が出血してしまい試合続行不可能と判断され、そのラウンドまでの採点が採用される事となった。

判定の結果は0-3で、辰吉選手の勝ちとなった。

そんな[不完全燃焼]を晴らす為に、今度はWBAのチャンピオンであるジョニーに照準を合わせたのである。

試合に向けて、キャンプに入るジョニー。

しかし、ジョニーにとってこの試合は、

更なる苦悩をもたらす事となる…。

つづく。

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