闇との闘い⑥

ジョニーの意識は回復した。

とは言え、常識に当てはめるならば、もうこれでボクシング界からフェイドアウトだろう。

そう思っていた。

僕の中には、彼のファイトをまた観たいという想いよりも、ゆっくりと穏やかに生きて欲しい願いの方が強くなっていた。

しかし、彼は違った。

やりかけの[仕事]を遂げる為、2000年にリングに戻って来たのである。

それを聞いた時、僕の身体に鳥肌が走った。

僕の内側から湧き上がる熱いエネルギー…。

やっぱり僕も、本心ではこの時を待っていた事に気づかされた。

2000年1月8日

WBOバンタム級チャンピオン

ホルヘ・エリエセール・フリオ(コロンビア)のタイトルに挑戦し、見事にチャンピオンに返り咲いてみせた。

僕の目には、地獄から這い上がったヒーローに映った。

その後、ジョニーから「試合を観に来ないか?」とメールをもらった。

その話に飛びつき、パスポートの手続きなどもするも、試合は計画倒れとなった。

2001年に起きた、全世界を震撼させたテロの発生が原因となって…。

当時、アメリカで生活の基盤を築いていたジョニーにも、その影響は大きく降り掛かっていた。

その後のキャリアは紆余曲折を経て、更に2階級ウェイトを上げたフェザー級でもチャンピオンとなり、三階級制覇を成し遂げた。

そこまで成し得ても、実際は[地獄から這い上がったヒーロー]にはなれなかった。

2007年2月、彼は遂にリングから去る。

大きな偉業を達成し…。

しかし、

その翌月に彼は、再びドラッグが原因で病院に搬送される事となる。

周囲を散々、トラブルに巻き込みながら…。

それでも彼は、また[死の淵]から戻ってきた。

それは、この[宿題]と向き合う為だったのかも知れない…。

おぞましい[宿題]が、彼を待っていた。

つづく。

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