闇との闘い final

彼を取り巻くトラブルは、一向に収まる事はなかった。

そして驚いたのは、引退試合から3年後の2010年にまたリングへと帰って来た事である。

もうそこには、彼を満足させられるものは無いのに…。 

対戦相手も以前とは違い、名も知られていないような相手であった。

それでも彼が[そこ]に身を置く理由…。

それは彼の中の大量な[火薬]が、未だに燻っている証であろう。

そんな中、一人の[モンスター]が連邦刑務所から出所してくる…。

身体中を刺青で汚したその男はメディアの前に立ち、[悪魔の囁き]をつぶやいた。

[ジョニー・タピアは俺の息子だ。]

衝撃が走った。

父親は彼が生まれる以前に殺されたはずなのに、一体どうなっているんだ!?

僕だけでなく、彼を知る世界中の人たちが、そう思ったに違いない。 

ジョニーも当初は相手にしなかったようだが、その男はDNAの検査結果まで公表してみせた。

ジョニーも受け入れるしかなかった。

やがて対面を果たし、ジョニーも複雑な心境を抱えながらも、内に宿る[愛]のチカラで精一杯向き合った。

そして、[事の顛末]は明らかとなる。

ジョニーが死んだと聞かされていた父親は実の父親ではなく、実の父親の後に母親が交際していた男であった。

それはジョニーにとって重過ぎる[現実]であり、向き合うには苦しすぎる[宿題]であった。

母親が殺され亡くなった後は、母親の姿をマリア様に重ねながら生きてきた…。

それなのに…。

彼の脳裏に浮かぶ、乱れた母親の姿…。

想像を絶するであろう[苦しみ]が、彼に襲い掛かる。

その[苦しみ]と闘いながら、その2年後に彼は突然、自宅で息を引き取った。

2012年5月27日 45歳であった。

検死結果によると、薬物の反応は出なかったようである。

天の導きであった事を祈りたい。

ありがとう。

ジョニー…。

R.I.P.

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