旅の終わり ①

自身の[内側]の浄化の旅…。

[内側]に棲みつく[悪魔]との闘い…。

その[終焉]は突然訪れた。

ある日の夕暮れ時、 

我が家の庭先からちびっ子の声がする。

何事かと思い、窓から外を眺めると…。

近所に住むちびっ子が、興奮気味に僕を手招きしている。

「カメのおじちゃん!トカゲがいるよ!

早く!来て!」

悪い予感に急かされ、外に出てみると…。

数人のちびっ子たちが、我が家の石垣の隙間に身を隠すトカゲを何とか捕まえようと真剣になっていた。

僕に声を掛けてきたちびっ子の手には細い木の枝が握られて、その枝を石垣の隙間に突っ込んでトカゲをほじくり出そうとしていた。

僕が覗き混むと、そこにはトカゲの子供が胴体を丸めて、小刻みに震えながら怯えていた。

そして、僕の足元には切れた尻尾が「やめて!やめて!」と、もがく様に踊っている。

それでも枝を突っ込もうとするちびっ子に、僕は厳しい口調で言った。

「やめろ!怯えてるだろ!」

すると、ちびっ子はぐずりながらも従ってくれた。

子供の虫取りなどはごく自然な景色であるのだが、我が家の庭で暮らす[命]たちとは不思議な[繋がり]を強く感じるのである。 

つぶちゃんと向き合っていると、いつも姿を現してくれる愛おしい存在でもある為、今回の出来事は僕の心にシコリを残した。

ちびっ子たちが去っていき、もう一度トカゲの子供を確認に行くと、まだ同じ場所で息を殺していた。

「もう大丈夫だよ。」

そんな想いで見守った。

それから数時間経ったのちに、もう一度確認に行くと姿は消えていた。

「また元気な姿で現れてな。」

そんな[想い]を送った。

この目に映る[景色]は、僕の[内側]の映し鏡。

一体、今回の出来事が起きた[意味]は、僕の[内側]の[何]を象徴する出来事だったのだろうか…。

考えてみても、すぐには答えは見つけられなかったが、この出来事が長きに渡った[内側の浄化]を完了へと導くキッカケとなるのであった。

つづく…。

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