庭の木々の剪定を行った。
僕にとっては、あまり気の乗らない行事であるが、木の枝を伸ばし放題にするわけにもいかず決行することに。
どうして気乗りしないのか…。
それは面倒などの理由ではなく、そこで[命]を営む存在たちへの[気遣い]である。
つぶちゃんとの[向き合い]の中、お墓に顔を出す様々な[命]たち…。
この庭の中で、様々な[命]たちが輝いている。
そんな[世界]を、僕は今から[破壊]するのである。
そこで暮らす[命]たちにとっては、正しく[天変地異]なのである。
突然に住処を荒らされて、中にはチェーンソーの犠牲になる[命]も…。
毎回、庭師さんにお願いしているのだが、僕は[命]の無事を祈りながら切り落とされた枝をかき集める。
すると…。
切り落とされた木々の枝に埋もれた、ニホンヤモリちゃんを保護することができた。
「良かった。」
踏まれてしまう可能性もあったが、無事に見つけ出すことができた。
それでも残念ながら潰れてしまったカタツムリや虫たちは存在し、僕は亡骸を集めて線香を手向けるのであった。
これも人間のエゴか…。
そんな虚しさが、僕の内側に漂う…。
やがて庭の剪定が終わると、そこはやけにスッキリと生まれ変わった景色となっていた。
まるで全てを一掃したかのように、[ぬくもり]は消え去っていた。
僕はパイプ椅子を運び、つぶちゃんのお墓の前に据えた。
「つぶちゃん、騒々しくしてゴメンね。でもサッパリしたよ。亡くなった小さな[命]たちを導いてあげてね。」
そんな想いを伝えながら、暫くつぶちゃんと向き合っていると…。
早速、一匹のハチが僕の指先に止まった。
「来た!」
つぶちゃんメッセンジャーは僕の指を行ったり来たりしながら…
[大丈夫だよ。]
[また、ここは賑やかになるよ。]
そう、伝えてくれているようであった。
その後、とりあえず虫かごの中に保護しておいたヤモリちゃんを放つことに。
ヤモリちゃんは僕の指に噛みつき、その[想い]を伝えて去っていった…。

[僕の想いの中で、幸せになってね。]
そう伝えた。
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