子供たちの夏休みも終わり、休みボケも感じさせることもなく、元気に登校する子供たちの声が響く。
近所に住むAくんとKくんが、元気に登校する姿が浮かぶ。
そう言えばAくんもKくんも、夏休み中は一度も顔を見せに来ることはなかった。
[カメだ!三兄弟]に餌を与えたり、つぶちゃんのお墓参りをしたりと、そんな彼らのルーティンは夏休みで少しリズムが変わったようだ。
僕の中には、彼らに対しての[引っかかり]があった。
それは、我が家の[カメだ!三兄弟]の末っ子との[お別れ]の報告であった。
どんな反応をするだろうか…。
彼らの気持ちもそうだが、何よりも自分の心にポッカリと穴が空き、そっと一人で向き合いたい気持ちもあったのである。
そして、
9月1日の始業式の日を迎えた。
彼らのルーティンは、夏休み以前のそれに戻っているのだろうか…。
正午が近づく頃、子供たちの声が風に乗って耳に届く。
しばらくすると、聞き慣れた声と共にランドセルを揺らす足音が二つ、庭で日光浴をするカメたちのところで止まった。
「おじさん!カメにえさをあげにきました。」
「おかえり。」
そう言葉をかけて、僕は二人の頭にそっと手を乗せた。
「そこに腰を下ろそうか。」
3人でカメたちを囲むように座り込むと、僕は切り出した。
「何か気づかない?」
咄嗟の問いかけに初めは戸惑うも、すぐにいつもの[景色]との違いに彼らの記憶は追いついた。
「あっ!カメがいっぴきいない!どうしたの?!」
ちびっ子たちの動揺が広がる。
それを鎮めるように、僕は伝えた。
「死んじゃったよ…。」
「えー!!」
二人は固まり呆然とするも、僕という人間を理解している二人は…
「おじさん、カメちゃんのお墓はどこにあるの?」
そう訊ねてくれた。
僕は二人に向けて返した。
「おじさんにチカラを貸してくれる?」
「いいけど、なにを?」
「一緒にこのカメちゃんを天国に運んで欲しい。僕たち3人の[想い]のチカラで、カメちゃんを安らかな場所に届けてあげよう。」
すると二人は、
「つぶちゃんのようにひかりにしてあげよう!またつながることができるから、おれたちでおまいりしてあげよう!またちょうちょになってあらわれてくれるから!」
3人でカメちゃんのお墓の前に立ち、線香を一本づつ立てると目を閉じた。
カメちゃんの[命]は間違いなく、二人のちびっ子の心の[光]になってるよ。ありがとう。カメちゃんの[命]は、とっても大きな役目を果たしたよ。カメちゃんの[命]にありがとう。
そう伝えた。

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