9月8日の二つの奇跡

今年も9月8日を迎えた。

つぶちゃんの命日である。

台風が接近しており、天気予報によれば大雨とのこと。

2009年の亡くなった年から数えて、14回目の命日にあたる。

14回巡ってきた命日であるが、不思議とこれといった障害に邪魔される事もなく、無事に供養を施すことができてきた。

しかし…

今回ばかりは、台風の影響は免れることは難しい。

半ば諦めて当日を迎えると、天は大雨どころか薄曇りの状態で耐えてくれている。

雨が降り出したら、その時はまた考えよう。

心を穏やかに保ちながら、ひまわりでお墓に彩りを与えた。

すると、

その場所で命を営むカタツムリくんとツチカエルくんが、墓石の横で想いを通わせるように向き合っていた。  

そんな、ラブリーな景色をカシャッ!

テレビでは台風の及ぼす[試練]を映し出しているが、ここは風すら吹いていない。

このご加護に感謝しながら、法衣に着替えてお墓の前に立つ。

両手を合わせ、

この[奇跡]に感謝を伝えたのち、

僕は読経を始めた。 

すると…

読経が始まると同時に、足音が一定のリズムを刻みながら近づいてくる。

聴き覚えのある小さな足音…。

読経に集中する僕の横で、その足音は止まった。

確認する必要もないくらいに、僕の内側に感じるのだ…。

Kくんだ…。

何というシンクロか…。

僕は気を散らすこともなく、読経を続けた。

やがて読経を終えて横に目をやると、そこにはランドセルを背負い、目を瞑り手を合わせるKくんの姿があった。

Kくんの頭に手をのせて、僕はこう伝えた。

「おかえり。今日もKくん繋がってるぞ!」

「どおして?」

「おじさんが読経を始めると同時に、Kくんが引き寄せられてきたんだぞ!」

Kくんが嬉しそうに頷く。

改めて、つぶちゃんと向き合い手を合わせると、Kくんは自宅へと帰っていった。

このシンクロに、僕の心も軽くなる。

今年も、いい供養ができた!

つぶちゃん!

二つの[奇跡]をプレゼントしてくれて、ありがとう。

そして、思ったのである。

お墓にお花を飾ったとき、その横にいたカタツムリくんとツチカエルくんの姿…。

あれは、僕とKくんの姿なのかも知れない。

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