ボトルに入ったメッセージ…
これは僕が、小学生だった頃の思い出。
地元の海岸で遊んでいたとき、水面を漂う茶色の小瓶を発見した。
僕は近くに落ちていた海苔の養殖で使った竹の端くれを拾い、それを使って小瓶を引き寄せた。
どうしてその瓶を拾いあげようとしたのか、それは思い出せない。
その当時も、そんな大した理由なんて無かったんだと思う。
敢えて言うならば、“引き寄せ”られたのだろう。
“それ”が放つエネルギーに…。
それは、栄養ドリンクの小瓶であった。
しっかりとキャップは閉められており、あまり水は浸水していなかった。
ただ、薄っすら透き通る茶色の奥には、白い何かが伺える。
「なんだろう?」
キャップを開けてみると、潮水で湿った紙が二つ折りになって丸まって入っていた。
その紙を取り出し開いてみると、そこには同じ年頃の女の子が書いたであろう文字が並んでいた。
「手紙か…?」
その時の僕の心情は、子供ながらに不思議な期待感に包まれた記憶として残っている。
“だれか、この手紙をひろった人は、お手紙ください。”
そんな内容の文章と自己紹介、そして返事を返すための住所が書かれていた。
僕は小学生ながら”メッセージ・イン・ア・ボトル”の知識は持っており、「まさか僕が!」と興奮したのを覚えている。
少し浮かれ気分で自宅に帰り着くと、まずは濡れた手紙を乾かそうと、玄関横の陽の当たっている窓ガラスに貼り付け、家の中へと入っていった。
さっそく姉に報告すると、姉も興味を示してくれて、
「ちゃんと返事を書いてあげなよ。」
そんな言葉が返ってきた。
それから家の中でゴチャゴチャしてるうちに、僕は“大切”なものを忘れていた事に気づいた。
乾かしていた手紙…。
僕は急いで玄関を出て、その横の窓ガラスに目をやる。
ないっ!
さっき、ピッタリと張り付いていたはずの手紙が…
ないっ…
乾いた“メッセージ”は、今度は風に運ばれて僕の元から羽ばたいていった…。
辺りを探しまわっても…
見当たらない…。
姉から、
「バカ…」
そんな、呆れた言葉をかけられた。
その時の“残念”が、何十年ぶりに“懐かしさ”に変化して、僕の胸の中で甦った。
あの時、小瓶に“想い”を込めて海に流した女の子にとっては、“メッセージ・イン・ア・ボトル”なんておとぎ話のようなものに思ったかも知れない。
“現実”は、
彼女の元には返事は届かなかったのだから…。
しかし、
“真実”は違う。
彼女の“メッセージ”は、ちゃんと“届いている”のである。
しかし、
“繋がる”ための…
“何か”が足りなかったのである。
そして、
彼女は“真実”を知らない…。
僕は[内側]に存在する“魂”に、その“想い”を刻み込んだ。
「来世、この続きを描くのも楽しいかもよ。」
そうそう…。
来世の話の前に、
今世はまだ残っている。
“ツインソウル”の二人が繋がれない理由…
“何”が足りないのか…。
その“答え”はわかっている。
“成長”が足りてないのだ。
“愛”が足りていないのだ。
そこに辿り着いた時…
“真実の景色”が見えてくる。
命ある限り、
そこを目指す。

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