毎年巡ってくる9月8日。
その日が近づくにつれて、僕の心の中はソワソワし出す。
例えるならば、子供が遊園地に遊びに行く日を心待ちにする感じ。
どんなお供えをあげようか…
勤行は僕が勤めるか、それとも菩提寺の住職にお願いしようか…
言い換えれば、一年に一度のつぶちゃんの命日のプロデュースである。
もう、僕にとって9月8日は悲しみの日ではなく、感謝と楽しみの日となっていた。
「僕の感謝の想いを届けるんだ」
そんな希望の日であった。
当日
つぶちゃんのお墓にお花を供え、生前住んでいた水槽もあの時のままになっているので、中を綺麗に掃除してお花を供えた。
すると…
水槽の脇に生まれたての赤ちゃんカメが佇んでいた!
「えっ…!つぶちゃん…?!」
心がつぶちゃんに占領されている状態での、目の前に起きている現実…。
つぶちゃんが亡くなってからも、何度も道を横断中のカメを助けてきたが、どうしても飼う気持ちにはなれなかった。
しかし、今回だけは違った。
命日に生家にやってきたカメ…
つぶちゃん…
僕はそのカメを飼う事にした。
名前
へんげちゃん。
あの日から8年の歳月が経っていた。

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